運動誘発喘息(アスリート喘息)

運動誘発喘息(アスリート喘息)

気管支喘息とは、気管支の慢性的な炎症で発作的な咳や呼吸困難が起こる病気です。
このうち、運動に伴って発作が誘発されるものを運動誘発喘息(EIA)と呼んでいます。
典型的な症状として、運動開始から終了後にかけて症状が出る即時型反応と運動終了後6〜12時間たってから症状が出る遅延型反応が知られています。後者の場合には、運動誘発喘息と気づかないことがあるため注意が必要です。

尚、当院では競技レベルを問わず、本格的に競技に取り組むアスリートから、ジュニア世代などで習い事にて競技に携わっている方まで幅広く対応しております。

運動誘発喘息の予防

運動誘発喘息の予防

  • ウォ-ミングアップ後、短時間での強い運動負荷を避け、時間をかけて持久トレーニングを実施。
  • 気温や湿度が極端に低いところでのトレーニングを避ける。
  • 気管支粘膜からの水分蒸発を防ぐためのマスク着用。

ご注意事項

運動誘発性喘息で使う薬の中には、ドーピング検査に抵触するものもありますので、アスリートの方で喘息の治療を行っている方は医師にご相談ください。

運動誘発喘息の症状

下記のような症状でお悩みの方は、当院にご相談下さい。

  • 運動を始めると咳が出る
  • 運動するとすぐに息苦しくなる
  • 運動中にヒューヒューする

アスリート喘息外来

学生スポーツの選手のみならず、オリンピックレベルのトップアスリートにも5~7%本症の患者が存在し、どの競技種目でも発症する可能性があるといわれています。
アスリートにおいて、運動開始後の咳や息切れは選手生命をおびやかす重要な問題であるだけに軽視できません。また適切な治療により、本来のパフォーマンスを発揮できる可能性が高いのです。
当院の医師は、これまでにラグビー、サッカー、野球、柔道、陸上競技、ソフトボール、水泳など様々な種目の選手の運動誘発性喘息を治療してきました。その経験を活かしアスリートのための運動誘発性喘息外来をおこないます。

ラグビー
ラグビー

サッカー
サッカー

野球・ハンドボール
野球・ハンドボール

柔道
柔道

陸上競技
陸上競技

水泳
水泳

よくある質問

運動誘発性喘息ってどんな病気?

運動誘発性喘息は運動開始数分後から運動終了後に咳やゼーゼーする息切れ、呼吸困難が出現します。
運動終了後数時間たってから出現する場合を遅発性運動誘発性喘息とよばれます。小学生の習い事での運動や中高生の部活動、オリンピックや世界選手権に出場するトップアスリートまでどのレベルの選手にも起こりえます。

運動誘発性喘息の症状は?

運動誘発性喘息の症状は、運動による、息切れ・咳・喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸)、がおこり呼吸困難が出現します。運動中にこれらの症状が出現すると、運動のパフォーマンスが低下して本来の力を発揮できなくなってしまいます。これが原因で運動をあきらめる学生やアスリートも少なくありません。適切に治療すれば症状をコントロールすることができるため、運動をあきらめる必要はありません。

運動誘発性喘息の原因は?

運動誘発性喘息は、運動により酸素需要が増加して換気量が増えることに加え、冷気の吸入や、気道の乾燥による浸透圧の変化などが原因で、気管支が収縮し喘息発作が出現すると考えられています。そのため、高温で多湿な夏季よりも、気温と湿度の低い寒冷期の運動で症状が起こりやすい傾向があります。発作を予防するための注意や適切な治療を行っていくことで症状を起こしにくくコントロールすることが可能です。

運動誘発性喘息はどのような運動で起こりますか?

運動誘発性喘息は換気量が多くなる耐久競技の方が、非耐久競技(瞬発力を競う競技)と比較して起こりやすいといわれています。競技別では陸上競技(特に長距離走)、トライアスロン、ラグビー、サッカー、スキー、スケート競技、バスケットボール、テニス、ヨットなど様々な競技の選手において運動誘発性喘息がみられます。 競技種目に関わらず、症状が気になったら呼吸器科を受診しましょう。

運動誘発性喘息の診断方法は?

運動誘発性喘息の場合、安静時の呼吸機能検査には異常が見られないことが多くみられます。そのため、運動前後での呼吸機能を比較することが必要です。実際に運動負荷をかけて、症状が出現するかどうか、運動後に呼吸機能が低下するかどうかを確認することが重要です。当院では実際に運動負荷試験を実施して運動誘発性喘息の診断を行います。

運動誘発性喘息どのくらいで治る?

軽度の運動誘発性喘息は、運動中止して数10分後に自然軽快します。 アマチュアスポーツであれば運動の強度を調整するだけでも、発作頻度は少なくなります。しかし、中高生以上からトップスポーツ選手においては、運動強度の調整はトレーニング不足に直結します。そのため薬物治療が中心となります。薬物治療では、普段から喘息症状を予防するためコントローラー(吸入ステロイドや長時間作用性気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬など)を毎日継続します。また運動開始前に、即効性の気管支拡張薬を吸入することで運動誘発性喘息は起こりにくくなります。

運動誘発性喘息の予防法は?

運動誘発性喘息は急激な激しい運動開始で誘発されやすい傾向があります。そのため、日頃からトレーニングを継続しておくことが必要です。また、練習前のウォーミングアップを入念に行うことが重要です。寒冷刺激や湿度低下も発作が起こりやすい要因といえます。そのため寒冷期のトレーニングではマスク着用で、吸気を温めて加湿することが有効です。そのほか日頃からのコントローラー(吸入ステロイドや長時間作用性気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬)と運動開始前の短時間作用性気管支拡張薬の吸入などの薬物療法が重要です。

運動誘発性喘息の治療薬は?

運動誘発性喘息の治療においては、まず普段からコントローラーと呼ばれる薬剤を使用して発作が起こりにくい状態を維持することが重要です。コントローラーには吸入ステロイド薬、長時間作用性気管支拡張薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬などが有用です。また運動開始15分ほど前には短時間作用性気管支拡張薬を使用することで運動誘発性喘息は起こりにくくなります。

アスリート特有の注意点は?

一部の喘息治療薬はドーピング検査において違反薬剤とみなされることがあります。トップアスリートにおいてはドーピングに抵触しない薬剤選択を行う必要があります。

運動誘発性喘息の運動制限は?

運動誘発性喘息があっても、適切な管理を行えば発作は起こりにくくなるため、運動制限は必要ありません。 運動誘発性喘息は、適切に治療をおこなって症状を予防できれば、スポーツを諦める必要はありません。 スポーツの指導者の中には運動誘発性喘息の知識が乏しいため、呼吸困難を病気の症状ととらえてもらえない場合があります。症状が疑われたら、まず呼吸器科を受診してください。

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